AI時代、どこを内製化し、どこを外注すべきか ― 草世木の現場から見えてきた「発注判断の新しい基準」
AIの進化によって、「この業務、社内のAIでできるのでは?」「外注する必要、もうないのでは?」という声をよく聞くようになりました。
確かに、減った依頼はあります。一方で、増えた依頼、そしてAIを使ってこそ新しく生まれた依頼もあります。
今回は、先日ご相談いただいたある案件を題材に、「AIがある時代、発注側はどう判断すればいいのか」を現場の視点から整理してみたいと思います。
ケース:自治体リサーチ+データ入力
先日、ある企業様からリサーチと入力の案件をご相談いただきました。
全国の自治体サイトから必要な情報を拾い、データ化していく作業です。これまでであれば、迷わず人力でやるしかない業務でした。
理由はシンプルで、自治体サイトのフォーマットは、似ているようで違うからです。市町村ごとに構造もレイアウトも異なる。だから目視での確認が必要になる。
「じゃあスクレイピングのプログラムを組めばいいのでは?」という話になりやすいのですが、A市で動くプログラムがB市ではまったく通用しない、ということが頻繁に起こります。プログラムは「決まった形」に強いけれど、「似て非なるもの」には弱いのです。
AIが入ると、何が変わるか
ここでAIを組み込むと、景色が少し変わります。
AIは、融通を利かせながら学習してリサーチできる。「この自治体はこういうページ構造か、ではこう読もう」と柔軟に対応できるのです。
つまり、プログラムと人力のちょうど中間のような作業が可能になる。これは従来なかった選択肢です。
ただし、ここからが重要な話です。
AIは、まだ「万能」ではない
現場でAIを使ってみると、こういう実感があります。
- AIの挙動が本当に正しいか、人間がチェックしないといけない
- 想定外の動きをすれば、プログラム側の修正も必要
- 必ずしも、人間より早いとも限らない
「AIに任せれば一瞬で終わる」というイメージとは、実際はかなり違います。AI・プログラム・人間の三者をどう組み合わせるかの設計と検証が、まだまだ必要な段階です。
この設計と検証こそが、実は外注先に求められる新しい価値なのだと感じています。
ライティングの話──「AIで書ける」の落とし穴
一方で、ライティングはどうでしょうか。
正直に言えば、ある程度の記事であればAIで作れるのは事実です。構成もそれなりに整うし、文章も破綻しない。
だからこそ発注側が考えるべきは、「AIで書けるかどうか」ではありません。
その記事を、どうやって一次情報化するかです。
- 専門家の知見が入っているか
- 当事者の体験が語られているか
- そこにしかない具体的な事例や数字があるか
ネット上にすでにある情報をAIで再編集しただけの二次情報記事を量産しても、読者には届きません。むしろ、AIで誰でも作れる時代だからこそ、一次情報の価値が上がっています。
「AIで書ける記事」を外注するのではなく、「AIでは書けない記事」をどう作るかを外注する。これが新しい発注の視点だと思います。
発注判断の新しい3つの基準
ここまでの話を整理すると、AI時代の外注判断はこう変わってきていると思います。
1. “作業”を頼むのではなく、”設計と検証”を頼む
AI・プログラム・人間をどう組み合わせるかを任せられる相手を選ぶ。
2. “AIでできる領域”ではなく、”AIでできない領域”を外注する
一次情報、専門性、現場経験──AIが代替できない部分こそ、外注の価値が高い。
3. “完成品”ではなく、”検証プロセス”に投資する
AIを含めた新しい業務フローは、試行錯誤なしには定着しない。その試行錯誤に伴走してくれる相手こそ貴重。
おわりに
草世木自身、AIとの付き合い方はまだ現在進行形です。偉そうななことを言える立場ではありません。
ただ、毎日のように現場で試行錯誤しているからこそ見えてくるものがある。発注を検討されている方にとって、判断のヒントになれば嬉しいです。
「こんなケース、AIでできるのかな?」「外注すべきかな?」と迷われたら、お気軽にご相談ください。一緒に考えさせていただきます。
